51コラボおすすめbook『ヨーロッパ古代「ケルト」の残照』

2021年6月8日 コラム, NEWS!

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51コラボがおすすめする書籍、今回はエッセイスト・武部好伸さんによる『ヨーロッパ古代「ケルト」の残照』(彩流社)です。

ヨーロッパの基層文化を築いたといわれる古代ケルト人の生活基盤となったオッピドゥム(要塞都市)とヒルフォート(丘砦)に焦点を当てた見聞記(ルポルタージュ)。
ドイツ、フランス、スペイン、イギリスなど13の国と地域にある29か所の貴重な遺跡を取り上げています。居住地の規模、機能、暮らしぶり、繁栄と衰退のプロセス、発見の経緯、現在の様子などをわかりやすく解説した歴史紀行ともいえるでしょう。

ケルト神話、ケルト音楽、ケルト美術など一般に「ケルト」からイメージするものとはかけ離れた内容ですが、ギリシアやローマの視点では見えてこなかった古代ヨーロッパの意外な「素顔」が浮き彫りになってくる一冊です。 

book
【本書の内容】

はじめに
■序「ケルト」のあれこれ
「ケルト」をめぐる動き/タルテシアンの碑文/ケルト大西洋起源説/ポルトガルとスペインへ/ヒルフォートとオッピドゥム

■ドイツ マンヒンク/ケルハイム/ラインハイム/オッツェンハウゼン/グラウベルク※コラム「ホイネブルクの城砦」「ホッホドルフの王子」
■オーストリア デュルンベルク ※コラム「ハルシュタット」「ラ・テーヌ」
■スロヴァキア プラチスラヴァとデヴィーン
■ルクセンブルク ティテルベルク
■ベルギー トンゲレン

■フランス アレシア/ビブラクト/ナージュ/アンブルスム/アントルモン ※コラム「ラソワ山と『ヴィクスの貴婦人』「女神セクアナ」「アグリスの『黄金のカブト』」「フィリトーザの人面石」
■スペイン ヌマンティア/ヴィラドンガ/サンタ・テクラ※コラム「ギサンドの雄牛」「オ・セブレイロのパリョーサ」
■イタリア モンテ・ビベレ ※コラム「アーサー王伝説が宿るロンコロ城」

■イギリス <イングランド>コルチェスター/メイドゥン・カースルとデーンベリー・カースル ※「バッサー古代農園」「女傑、ボウディッカの反乱」 <ウェールズ>カステル・ヘンリース ※コラム「アーサー王の円卓!?カエルレオン」 <スコットランド>バーグヘッド/ダンバートン/ダナッド ※コラム「シンボル・ストーン」 <北アイルランド>ナヴァン・フォート
■アイルランドグリーナン・オヴ・エラー/ドゥン・エンガサ※コラム「タラの丘」「ハイクロス」「グンデストルップの大釜」
おわりに


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プロ
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エッセイスト。1954年、大阪市生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者(1995年に依願退職)。日本ペンクラブ会員、関西大学社会学部非常勤講師(メディア専攻)。映画、ケルト文化、洋酒、大阪をテーマにユニークな執筆活動を展開中。新聞、雑誌、ネット媒体への寄稿、講演、テレビ・ラジオ出演など積極的に活動している。日本経済新聞の映画評を2006年1月から2019年3月まで担当。

主な著書に、『スコットランド「ケルト」紀行~ヘブリディーズ諸島を歩く』、『中央ヨーロッパ「ケルト」紀行~古代遺跡を歩く』、『アイルランド「ケルト」紀行~エリンの地を歩く』など「ケルト」紀行シリーズ全10巻(彩流社)、『スコットランド「ケルト」の誘惑~幻の民ピクト人を追って』(言視舎)、『ケルト映画紀行~名作の舞台を訪ねて』(論創社)、『ぜんぶ大阪の映画やねん』(平凡社)、『大阪「映画」事始め』(彩流社)、『シネマティーニ 銀幕のなかの洋酒たち』(淡交社)、『ウイスキー アンド シネマ 琥珀色の名脇役たち』(同)、『ウイスキー アンド シネマ 2 心も酔わせる名優たち』(同)など多数。最新刊が『ヨーロッパ古代「ケルト」の残照』(彩流社)。
本

messeage

30年ほど前、スコッチのシングルモルト・ウイスキーとの出会いによって「ケルト」に触れ、そのミステリアスでつかみどころのない世界観に魅了された。ふつうは対象物に接近すればするほど実体がはっきりしてくるものだが、こと「ケルト」に関して言えば、ますます曖昧模糊になってくるから不思議だ。気が付けば、「ケルト」の探索がライフワークになっていた。

元新聞記者とあって、自分の足で稼ぐ〈現場主義〉を何よりもモットーにしており、1995年からヨーロッパ各地に点在するケルト関連の地を踏破してきた。その成果を「ケルト」紀行シリーズ全10巻(彩流社)として上梓したが、いま一度、原点に戻り、「ケルト」の根っこのところをしっかり見据えたいと思い、2010年から未踏の地を中心に再取材に取りかかった。それをまとめたのが本書である。

「ケルト」と言えば、アイルランドやスコットランドを真っ先に思い浮かべるが、本書を一読すると、そのルーツは紛れもなくヨーロッパ大陸にあることがわかっていただけるだろう。より多くの人に「ケルト」に対する見方を変えてもらえればと願っている。
ぼくのケルト愛がびっしり詰まった『ヨーロッパ古代「ケルト」の残照』を手に取り、古代のロマンに浸っていただきたい。


推薦

著者・武部氏は小社よりケルト関連書をすでに12冊も出版している。たんなる思い入れのみで「ケルト」をめぐってここまで書き続けることなどできない。

本書に登場する場所はすべて自らの足で踏破し、見てきたところばかりで、写真もすべて自分で撮影したものである。武部氏は「執念と言ってもいいかもしれません」というが、まさに「現場主義者」を自認する氏の面目躍如である。

本書で紹介された地は、武部氏が「ケルト」の取材を本格的に開始した1995年から直近までの四半世紀にかけて訪れたところである。各地については可能な限り資料に当たり、現地取材と各地の博物館で得た知識が大いに活かされている。かなり前に取材した場所については、新しい知見を盛り込み、できるかぎりの最新情報を記している。

読者のみなさんには実際に現地を訪れていただきたいと考え、アクセス手順も細かく記した。アクセス情報を参考に現地を訪れてほしいという武部氏の切なる願いの表れだ。ヨーロッパはどの町でも観光案内所が充実している。「ケルト」を知ればヨーロッパの「素顔」が見えてくる。

……とはいえ、よもや誰もが想像することなどできない状況に、いままさに地球規模で直面している。まだまだ海外渡航はむずかしいだろう。ぜひ本書を手に、さあ「想像旅行(Voyage Imaginaire)」へ!


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