江戸の怪異文学、上田秋成の傑作古典を幻想的に立体化する試み
2018年8月5日 NEWS! 雨月物語, 真行寺君枝, 中村明一, 夏目漱石, 浅茅が宿, 夢十夜, 朗読劇

江戸時代における怪異文学の最高傑作といえば、上田秋成の「雨月物語」です。
この古典は、世界的な映画監督である溝口健二が映画化したことでも有名ですし、その映画は日本を代表する映画として海外でも上映されることが多いようです。
「雨月物語」、そこには全部で9つの物語が収められています。
なかでも「浅茅が宿」の物語は、より<もののあはれ感>が強く深い感動を呼び起こすものと言えましょう。
物語はこんな内容です。
~下総真間の里に住む勝四郎は、比較的裕福で美人の妻・宮木と暮らしていたが、家運が傾き、その挽回のために私財を投げ打ち、京へと上京します。
早く帰ってと懇願する妻・宮木の気持ちとは裏腹に、不慮の災難と戦乱勃発に巻き込まれ、7年もの歳月を過ごしてしまいます。
やっとの思いで国に帰る勝四郎、痩せこけた妻は一人で夫の帰りを待っていて、さめざめと泣く。しかし、一夜明けてみると、それは妻・宮木の亡霊であった。
勝四郎は妻の菩提を弔うのであった。~
簡単に書くと、こんな話なのですが、このようなあらすじでは、とても表現などできない、<もののあはれ感>が作品には漂っており、読後の印象は、女の悲しい情念とともに、グッと胸が痛くなり、深い悲しみのようなものがこみあげてきます。
上田秋成の「雨月物語」が時代を越えて、日本の怪異古典文学の傑作とすて欠かすことのできないものとして、今の時代に読み継がれているのは、そこに日本人故にわかる無常感が見事に描かれているからなのだと思います。
51コラボでは、「幻想ー夢泡雪(ゆめのあわゆき)」と題して、この上田秋成の「雨月物語」のながの「浅茅が宿」と文豪・夏目漱石の小説「夢十夜・第一夜」を題材に、音楽と映像をミックスした幻想朗読劇を上演致します。
日本人の深い部分で流れている無意識の心情を感じとれる機会になると思います。

女優、アーティスト 真行寺君枝
女優、アーティスト。16 歳のとき、資生堂・秋のキャンペーン「ゆれる・まなざし」で圧倒的なデビューを飾る。以後、モデル、女優、アーティストとして、舞台、映画、テレビなどで活躍。独特の存在感をもつ。
2004 年自身の手作り服の個展「手縫いの服」開催。現在女優業の傍ら「コスメティックメゾン シンギョージ・キミエ」を運営。自社の化粧品開発・販売を手掛けるなど、マルチに活躍。
【幻想-―夢泡雪(ゆめのあわゆき)】
●日時:9月24日(月・祝)
●会場:吉祥寺シアター
●演目:上田秋成「雨月物語/浅茅が宿」
夏目漱石「夢十夜/第一夜」
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■出演:真行寺君枝、東家一太郎
■朗読:山田誠浩
■糸操り人形:平井 航
■演奏:中村明一(尺八)、元井美智子(箏)
■映像:中川泰伸
■演出・作曲:中村明一
皆様のお越しを心よりお待ちしています。
いつもとは違う雰囲気で皆様と劇場でお会いできることを楽しみにしております。
(文責:服部)